アンカー論から考えるシュナイデルランの誤まった使われ方
- あやたか
- 2018年2月10日
- 読了時間: 9分
初めまして。エバトニアン歴はまだまだ駆け出しのあやたか(@senbon0802)と申します。
初投稿で、まだまだ内容など覚束ない点が多くあると思いますが目を通していただければ幸いです。
今回のコラムの主人公はタイトルにもある通りシュナイデルランです。
地元フランスのストラスブールにてプロデビューを飾り、海をわたりイギリスへ。2クラブ目のサウサンプトンで頭角を表しユナイテッドへステップアップ。そこでの不遇の時期を経て、今は我々エバートン在籍の29歳。
僕が彼を知ったのもセインツ時代。当時の監督ナイジェル・アドキンスとともにプレミア昇格してきた初年度でした。
さて前置きはここら辺にして、なぜ今彼について論じたかったのかです。今シーズンのエバートンの内容の悪さはみなさん承知の通りです。その批判の中心にいるのがシュナイデルランです。僕がそのプレーに魅了されたセインツ時代の彼は影を潜め、覇気のないプレーに終始してしまっているわけはなんなのか、僕なりいいたいことがあるので、ここで話していきたいと思います。
まず述べたいのは、アンカーというポジションについて話したいと思います。僕はアンカーを任せられる選手には2タイプいると思っています。
1つは、レジスタタイプ。往年のピルロのように低い位置から上下左右にボールを裁き攻撃のリズムを作るタイプです。近年ではお隣リバプールのヘンダーソンなんかはロジャース期からそのポジションで開花しているように見えます。ただレジスタタイプの場合、運動量やアグレッシブさといったように守備力に難点をかかえるケースが多く、両インサイドハーフのどちらかや両方にボックストゥボックスのような攻守ともに顔の出せるタイプの選手でカバーするのが定石になってきます。
2つ目のタイプが、言わゆる狩人タイプです。スパーズのワニャマ、プレミア以外でいうとレアルのカゼミロなどのようにいわば門番のように最終ラインの前の鍵かけ役です。このタイプは基本やはりデュエル、フィジカルに定評のあるタイプが置かれる印象があります。やはりこのタイプは守備専といわれがちで併用されるのはエリクセンやモドリッチなどゲームを作れるゲームメーカーが多いです。
なぜここでアンカーについて述べたかというと、今のシュナイデルランの起用の仕方に起因します。
みなさんに1つ考えてほしいのはシュナイデルランはどんな選手のイメージがあるか、ということです。
僕のなかでは、サイドチェンジの球やトップに当てる縦パスなど長短のパスの精度バリエーション共に非凡で、長身のわりに足元の技術にたけ、カバーリング能力や期を見た攻め上がりのタイミングもよく攻守両面にバランスよく貢献できる選手、といったところでしょうか。練習でロンド(鳥かご)をしている姿を見ても、足元のうまさは結構なものです。みなさんのイメージと差異はありましたか?
言いたいのは守備専の選手のイメージは全くないということです。
これについてはセインツ時代のプレー集を見ていただければわかると思います。
(https://youtu.be/HTIICvqsylY)
エバートンに移籍してきたときの記事にはほとんどが守備に定評がある~のようにシュナイデルランの守備に意識が置かれていました。
それもたしかにわかります。四肢の長さを使ったタックルやスライディングは何度も散見しました。記録にも残っており2013シーズンにはプレミアNo.1のインターセプト、タックル数、運動量を記録しており、2014-15にもマティッチに次ぐ2位の数字を残しているためだと思います。ただここで注目してもらいたいのは運動量というワードと使われたポジションです。
この両方の年もサウサンプトン時代に残した記録であり、その頃の監督がアドキンスとポチェッティーノでした。ポチェッティーノ期には何度かありましたが両監督ともシュナイデルランをアンカーに使うことは少ない監督でした。
アドキンス期にはジャックコークというどちらかというとレジスタタイプの選手の隣でボックストゥボックスの働きをしており、ポチェッティーノ期ではワニャマという門番の隣かその前でのプレーが多かったです。
ここでのプレーで輝きを放ち、ある人物の目にとまりステップアップを図るのですが、それがシュナイデルランにとっては悪夢となります。
その人物が前ユナイテッド監督、ファンハールです。
その頃のユナイテッドはアンカーにレジスタ、キャリックに頼りっぱなしと言われており、キャリックの過労を減らすべくして取ってきたのがシュナイデルランでした。ようは年齢的にもキャリックの後釜としてレッドデビルズに迎えられたわけですが、ここでの指導についてシュナイデルランはこう語っています。
「彼は僅かな自由も奪っていった。自分はプレミアリーグで多くの経験を持っているのにね。
彼との時間では、自分はまるでロボットのようにプレーしていた。
彼は僕に言っていた。
『そこに行ってはいけない』『ボールをここで持ちなさい』『それをやってはいけない』
それらの説明は僕を少し動揺させるものだったんだろう。
(参照: http://qoly.jp/2017/04/11/morgan-schneiderlin-talked-about-van-gaal-s-tactics-kgn-1)
これからわかる通り、ユナイテッド以降、プレーに大きな枷をつけられてしまったのが今の不調に繋がる理由の1つと考えています。
先程のアンカーの話にあるように、シュナイデルランの適正はレジスタの隣でボックストゥボックスとして運動量をいかすか、門番の隣で非凡なパスセンスでゲームを支配するかのように、あまり縛りの少ない代わりに仕事の多いインサイドハーフに適正があると思います。
しかしファンハールに求められていたのはキャリックのようなプレー。経験とサッカーIQという努力が培えないものを武器にし運動量をカバーするようなキャリックを手本とするのはいわば自分の最大の長所をひとつ消すことになったのです。キャリックの守備においてのエジルのような司令塔を「眼で殺す」ことが出来るのは間違いなく経験からくるものであり、読みのよさをいかし、自分の持ち場をすててのインターセプトであったりプレスバックからのダイナミックなタックルであったりがあまり生きないプレーエリアへと追いやられてしまい、初のビッグクラブで今までのプレーと全く別のものを求められ多くの動揺があったのがユナイテッド時のプレーぶりからわかります。
ファンハールのインタビューではシュナイデルランは非常に勤勉。と述べていたことからも、自分のプレースタイルに試行錯誤して今のものへ変化したというのがうかがえます。
また、アンカーの話に戻ると、必要要素としてバランス感覚というのも出てくると思いますが、シュナイデルランもよくバランス感覚がいいと評価されますがそれは攻守、上下のバランス感覚であり、アンカーには上下、そして左右のバランスも重要で、バランス感覚というよりポジショニング力や空間認知力という言葉がしっくりきます。これがピカイチなのがバルサのブスケツであり、ここでも適正からは少しズれるかなとも思います。
そういった経緯で光っていたゴール前への飛び出しだったり、縦横無尽にピッチを支配する彼のプレーはなくなったしまいました。最近久しく彼がバイタルエリアに侵入したのを見ていないです。パスを出してもゴーの動きが一切消え、いい縦パスをいれてもそれ以降に絡むことはなくなりました。
エバートン移籍後も今度はどちらかというと門番タイプの役割を期待されて加入し、またも守備一辺倒の役割に従事してしまいます。デビューチームのストラスブールの当時の監督Jean-Marc Furlanは「テクニックはあるがひ弱だ。もっとアグレッシブにならないといけない」と述べていたようにもともとフィジカルに定評のあるわけではないだけに真っ向勝負のデュエルで勝ってきた選手ではない。
もともと大きな欠点がない選手なだけにある程度はこなせてしまい、最近の試合ではレジスタよりの仕事を中途半端にやるようになっています。29歳で、そっちのプレースタイルで老け込むにはおしいほどの年でもあります。
今では彼の横で縦横無尽に動き回りタックルを繰り返すゲイェがプレミアでもタックル数でカンテを上回るということも起きています。しかしゲイェの攻撃センスのなさバイタル付近でのアイデアのなさはエバトニアンもみててわかると思う。じゃあシュナイデルランとゲイェの役割を逆にしたら?と思うかもしれないが、ゲイェやカンテなど動き回り、ボールホルダーを執拗においかけボールハントするタイプはアンカーには適さない。それだけアンカーがポジショニングが難しいポジションだということであり、それだけに経験がものがいうポジションであります。
ダブルボランチにしても、「補完性」が大事になってきて両ボランチ共にバランスが重要であり、こう考えるとベストだとも思われていたゲイェシュナイデルランのコンビは相性が悪い。ゲイェと似たカンテの横でドリンクウォーターが前にも攻め上がれ、補完性が抜群だったのはなぜなのかと思うかたもいるかもしれないが、それはレスターの前線コンビのプレスがあってこそなせるもので、相手にロングボールを蹴らせることで屈強なモーガンフートが跳ね返せる。そしてゲイェがカンテに劣っている、「セカンド回収能力」もこの戦術では大事にファクターとしてあり、成りなっているようにみえました。
ここまで長々と語ってきて、復活策を自分なりに考えてましたが、やはり、シュナイデルランを生かすにはセインツ時代のようにより自由を与えプレーエリアを広げることが必要だと思います。そして今やギルフィやルーニーなど主役の多い二列目の中で自らが舵とり役となりボールに多く絡むことがシュナイデルラン復活に必要だと思います。
具体的には、やはりスリーセンターのインサイドハーフにおいて攻守ともに顔を出すポジションがベターで今までよりも前目の位置で仕事をしてもらう。そうなるとアンカーは誰だとなりますが、今のメンツ的にバニンギメが適任出ないかなと思います。
以上含め自分が考えるベストな布陣がこちらです

まぁただ現監督にそのような変化を期待できないですし、あくまでこれはシュナイデルラン自体の復調だけを考えた場合の話で、これがエバートンの復調に繋がるとまでは明言できないです。選手自身もユナイテッドからのステップダウンでチームものらないなか、ミララスとともに練習態度に苦言を呈されたりと、どの程度のモチベーションなのかは本人しかわかりませんが、いつぞやのあのプレミア屈指の中盤としてアームバンドを巻きチームを引っ張っていた頃のシュナイデルランのプレーをエバートンでも見たいなという期待を込めて、このコラムの最後とさせていただきます。
本当に長々となってしまい、文章内容ともにまだまだ未熟ですが、ここまで読んでくれてありがとうございます。
また機会があればなにか書きたいと思います。では
あやたか(@senbon0802)
Comentarios