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  • 執筆者の写真Yoshia

ヨーロッパの舞台で勝敗を分けた成熟度-アタランタ戦-

2月からチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの決勝ラウンドが始まる。フットボールファンにとっては非常に楽しみな試合の数々が開催されるが、エバトニアンにはシーズン序盤の苦い記憶が呼び起こされるだろう。


エバートンは今シーズンのヨーロッパリーグで陽の目を見ることなく敗退してしまった。特に衝撃的だったのは合計スコアが1-8となったアタランタ戦だ。ホームスタジアムはUEFAの規定を満たさないため使えず、加えてイングランド勢との対戦は初という欧州での経験が浅いイタリアのクラブになぜ大敗を喫してしまったのだろうか。臭いものには蓋をせず、しっかりと向き合わなければならない。


それぞれのスタジアムで行われた試合のうち、グディソンパークで開催されたグループリーグ第5節は、得点差こそ4点と大差をつけられたものの、試合の内容は途中まで強度を保っていた。アタランタの3点目が決まって以降は足も止まってしまったが、それまで積み上げてきた勝ち点に目を向ければ、意気消沈するのも無理はない。それよりも下馬評ではエバートンが勝利すると見られていたグループステージ第1節のマペイ・スタジアムでの1戦が、エバートンがヨーロッパリーグを戦っていく上で重たい足枷となった。


結果は0-3でエバートンの完敗だった。アタランタはサッスオーロから借用したスタジアムを使用していた上、スピナッツォーラやイリチッチといった主力級の選手を欠いていたにも関わらず、一貫して前へ進むサッカーを見せた。前半は、4バックで臨んだエバートンのビルドアップをプレスによって塞ぎ、ステケレンブルフまでボールが下がった時にはマンツーマンも併用してボールを奪いに行っていた。そうして徐々に支配率を失っていったエバートンに対して、アタランタは最終ラインからマジエッロやトロイを突入させ、後半に入る前に3点を奪い取った。エバートンはどこでボールを取り返すかをチームで共有できていないように見え、押し込まれては長いボールでクリアというルーティンにはまってしまった。


試合はこのままアタランタペースで進むかと思われたが、クーマンはハーフタイムを活用して的確に手を打った。最終ラインを3バックにし、シュナイデルランをアンカーに置くことでボールの確保に成功したのだ。それからは前半とは見違えて主導権を握った。問題はペナルティーエリアに進入できなかった点だ。カルバートルウィンは孤立してしまい、ルーニーやシグルズソンも周囲との連携の構築中であった。結果的に攻勢を強めた後半の始めでゴールを奪えなかったことが尾を引くことになった。70分以降は足も止まってしまい、立て続けにクラーセンやラミレスといった前線の選手を投入したが、時すでに遅しであった。


結果的にこの試合の勝敗を分けたのはチームの成熟度ではないだろうか。アタランタは昨シーズンにケシエやコンティを引き抜かれたとはいえ、ガスペリーニを中心に一貫したコンセプトを持って試合に臨んできた。一方でエバートンは新加入の選手が多く、特に前線で選手がどのような規律を持って動くのか、どれ程自由にプレーしていいのかが落とし込まれていなかった。しかしかながらエバートンは直近のプレミアリーグでチェルシー、トッテナムという強豪相手に連戦をこなしており、チームが消耗していたことも事実だ。さらに中2日でユナイテッド戦があり、その後にはルーニーの飲酒運転騒動の裁判まで控えていた。


外的要因も少なからず影響したアタランタ線であったが、チームのまとまりや連携という点において、試合に臨んだ段階でアタランタに分があったのは試合に如実に表れていた。アラダイス就任後はゆるやかではあるが得点も取れるようになっており、チームの歯車も9月から格段に噛み合うようになってきている。残りのプレミアリーグで上位に食い込み、来年の9月にヨーロッパの舞台で活躍するエバートンが見たいものだ。


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